Episode 8 酒と温度の話(2)
前回に引き続いて日本酒と温度についてお話しします。
日本酒の味わいは、温度の変化や空気との接触によって変化し続けます。
また、広い温度帯で味わうことが出来るのは日本酒の大きな特徴でもあります。
2℃〜4℃変わるだけで全く違う印象になることもしばしばあります。
前回もお話ししましたが、日本酒の歴史を振り返ると、現在のようによく磨かれた米で醸した日本酒が一般的になったのはごく最近であり、以前の日本酒は米を磨いておらず(磨くことが出来ず)今よりもずっと酸やアミノ酸の量が多くどっしりとした味わいだったといわれています。
日本酒は温度が上がると甘みが増します。
その日本酒を加熱して、甘みの度合いを高めることにより雑味と捉えられていた苦味などをマスキングしながら、よりバランスの取れた味わいで飲める方法として燗が好まれたのではないかといわれています。
温度による味わいの変化について簡単に図で説明してみます。
それがどんなタイプの日本酒なのかわからない場合でも、まずは冷やすところから始めれば必ず好みのテイストに近づくことが出来るはずです。
例えば、「彼の岸」ですと、5℃から16℃の温度帯をお勧めしています。
それは、冷蔵庫の冷蔵室から出して注がれた最初の一杯目と料理が進むにつれて室温によって「彼の岸」がどんどん開いていくと想像して下さい。
温度が上がるにつれて「彼の岸」の素晴らしい表情の変化を皆様に感じとっていただけるはずです。
皆様それぞれの好みの温度帯を見つけてみて下さい。
次回は保管の温度についてお話しします。
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