Episode 18 その男、中村 雄大(山田錦栽培・醸造担当)
引き続き名古屋の蔵を拠点にしながら黒田庄での米造りに携わる醸し人を紹介していきます。
彼は若いですが脂ののったベテランになります。その経験値を活かし名古屋の蔵の旗振り役として皆を鼓舞しています。
中村 雄大(1991年生まれ)
私は19歳の春から造り手として働き始め今年で12年目になります。
九平次に入る前は地元の農業高校で食品の加工を学びました。特に味噌や醤油、他にも日本酒やワインなどの発酵食品の製造実習に力を入れておりました。
20歳を過ぎてすぐの頃、先輩方から「もう飲める歳だから、利き酒をしてしっかり勉強しろよ。」と言われたのでその日初めて利き酒をさせて頂きました。
ブラインドで利き酒をしていたのですが、実はそのお酒は「別誂」だったのです。私はそのことを知らずに「日本酒ってこんなに甘くて苦くて酸っぱくて色んな味がする物なんだな。」と感じました。今振り返れば初めての利き酒で随分と贅沢な体験をさせて頂きました。
以前ソムリエの方が、「ワインを飲んで美味しいと思うためにはたくさんのワインを飲んで、自分の中の美味しいと思える幅を広げていかないといけない。そうしないと世界中の多種多様なワインを楽しみつくすことが出来ない。」とおっしゃっていました。
まさに当時の私は、自分の中の「美味しい」の幅が狭かったのです。そしてその幅は色々なお酒を飲むことで広げることが出来ますが、自分たちが造ったお酒にももっと「美味しさ」の幅の広がり、言い換えれば「五味」を持たせる必要が有ると思いました。
その手段の一つが黒田庄にて山田錦を栽培することだと私は思っています。
名古屋にて黒田庄で栽培した山田錦を仕込んでいる時は夏の暑さや台風で稲が倒れるのではないかと不安になっていたことなどを思い出し、いつもよりついつい力をいれて仕込んでしまいます。
皆様に、こうした思いをこめて造った九平次のお酒から美味しさの幅「五味」を感じて頂けるようこれからも邁進して参ります。
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