Episode 41 花が咲いた後に(1)
稲は開花すると全ての力を子孫を残すことに傾けます。私たちは出穂後のこの期間の気候が最も重要だと考えています。その年の米がどんな酒になるのかその多くがこの期間で決まります。
台風が来ないか、夜、熱帯夜にならないか、害虫が発生しないか、心配の種は尽きません。もし台風が来たら。それが開花直後であれば強風により受粉が上手くいかない籾が増えます。風雨で籾同士が擦れてしまうと籾は黒く変色してしまい中の米も色がついてしまいます。風が強ければ倒れてしまう稲も出てきます。籾は長く水に触れてしまうと発芽してしまいます。
昼間の熱気が残り夜の気温が下がらないと、私たちと同様に稲も寝苦しく、呼吸が増えます。そうすると日中に作り上げた栄養分を呼吸に多く使ってしまい体力を消耗してしまうのです。本来その栄養は籾の中の果実、コメに届くはずのものです。
偏西風に乗って大陸からウンカが飛来しないか。イナゴやカメムシの被害が発生しないか。
自然の前では私たちは無力です。それでも、この時期その被害を最小限にするためにしっかりと水、栄養を管理し太く短くしっかり根を張る健康的な稲を育て上げるのです。最大限、稲の持つ力を発揮させること、それが私たちに出来ることです。
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