Episode 7 酒と温度の話(1)
3回に分けて酒と温度の関係についてお話しします。
昔から「赤ワインは常温で」と言われますが、そもそも常温とは何でしょう。
漢字からも読み解けますが、常温とは常に一定の温度、平常の温度を指します。
実はヨーロッパでの常温は20℃前後になります。
それはヨーロッパの気候が、外の温度が高くても日陰に入ると涼しく、建物は石で出来ていて、夏でも湿度が低いため室内は涼しく年間通して温度の変化が少ないからです。
「赤ワインは常温で」この場合の常温とはヨーロッパでの常温であり、それは20℃以下で供されると想像出来ます。
それに対して日本は暑いときは暑く、寒いときは寒く、よく見かける惣菜パンの保存温度の表記が夏と冬で違うように常温といっても夏か冬でかなり差があります。
日本において常温とはそれだけ広い温度帯を指すことになります。
その昔日本酒の常温=冷でした。まだ冷やし続ける技術がなかったからです。
日本酒を冷やすようになったのは物を冷蔵出来るようになったため、また醸造技術が進歩して吟醸酒、香りの華やかなお酒を醸せるようになったからです。
昭和初期に米を磨く技術が発達しましたが、それまでは米を磨こうとしても80%台までしか磨くことができず、出来上がりは甘くどっしりしたお酒になり冷やしてもあまり美味しくない酒だったと想像出来ます。
日本酒は醸造技術、冷蔵技術の発展と共に、味わう温度帯も広がっていきました。
次回は「彼の岸 2020」も含めて味わいと温度帯の関係についてお話します。
- 選択結果を選ぶと、ページが全面的に更新されます。
- スペースキーを押してから矢印キーを押して選択します。